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初診日の「落とし穴」、障害年金申請で最も困難な壁をどう乗り越えるか?

「障害年金の申請なんて、診断書をもらって書類を出すだけでしょ?」——そう思っている方は少なくありません。しかし、障害年金申請の成否を左右する最も重要かつ困難な要素が「初診日の特定」であることを、多くの方が見落としています。

初診日特定の複雑さは、見た目とは大違いの現実

「最初に病院に行った日」では済まない理由

障害年金における初診日とは、単純に「最初に病院を受診した日」ではありません。「障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」という厳密な定義があります。

よくある誤解と実際のケース

【誤解】 うつ病で精神科を初めて受診した日が初診日
【実際】 心療内科受診前に内科で「不眠」「食欲不振」を相談していた場合、その内科受診日が初診日となる可能性

【誤解】 糖尿病と診断された日が初診日
【実際】 健康診断で血糖値異常を指摘され、再検査を受けた日が初診日となる場合

【誤解】 手術を受けた病院での初診日
【実際】 症状を感じて最初に相談した近所のクリニックでの受診日が初診日

因果関係の判定は、専門知識なしには判断困難

疾病間の因果関係認定の複雑さ

障害年金では、複数の疾病間に因果関係があるかどうかで初診日が大きく変わります。これは医学的知識と法的解釈の両方を要する、極めて専門的な判断です。

素人判断では「別の病気」と思っていても、専門的な観点から因果関係が認められ、初診日が大幅に遡る場合があります。

「時の壁」古い初診日がもたらす困難

20年、30年前の初診日特定の困難さ

精神疾患や生活習慣病など、長期間にわたって進行する疾病では、初診日が数十年前に遡る場合があります。この時、様々な困難が立ちはだかります。

医療機関の廃院・統廃合

【現実】 開業医の高齢化や経営難により医療機関が廃止
【影響】 カルテの保管先不明、後継医療機関での引き継ぎなし

カルテ保存期間の限界

【法定保存期間】 5年間(実際にはそれ以上保管している場合も多い)
【現実】 10年以上前のカルテは破棄されている可能性が高い

担当医師の退職・死亡

【問題】 当時の診療内容を証明できる医師がいない
【結果】 診断書作成が不可能、または内容が不十分

専門家だからこそできる「初診日証明」

社会保険労務士の専門技術

1. 多角的な資料収集

・医療機関以外の証拠収集

・行政機関の記録活用

2. 医師との効果的な対応

・診断書作成に向けた情報提供

3. 法的論理構成

複数の証拠の組み合わせ

  • 直接証拠がない場合の間接証拠の積み重ね

  • 矛盾する情報の整理と説明

  • 合理的な推定による論理構築

初診日特定失敗がもたらす深刻な結果

保険料納付要件の不充足

【ケース】 実際の初診日より後の日を申告した場合

  • 保険料未納期間が要件を満たさず不支給

  • 正しい初診日であれば受給可能だった

等級判定への影響

【ケース】 初診日が特定できず「不明」として処理

  • 本来より低い等級での認定

遡及受給の機会損失

【ケース】 初診日が1年遡れば

  • 生涯受給額では数百万円の差

初診日特定における専門家の価値

初診日の特定は、「知識」、「経験」、「人脈」、「時間」の全てが必要な高度専門業務です。

なぜ素人には困難なのか

  1. 医学知識の不足

  2. 法的知識の不足

  3. 経験の不足

  4. 時間の不足

専門家に依頼する意味

「受給確率の向上」

  • 初診日特定の成功率向上

  • 適切な等級での認定可能性向上

  • 遡及受給の機会確保

「時間価値の最大化」

  • 複雑な調査から解放

  • 治療や生活への集中

  • 精神的負担の軽減

初診日特定は「専門技術」

初診日の特定は、障害年金申請の根幹をなす最重要事項です。しかし、その複雑さと困難さは、一般の方が想像するレベルを超えています

最後に考えていただきたいこと

  • 医学と法律の交差点での判断を素人が行うリスク

  • 数十年前の証拠収集を個人で行う限界

「自分でできそう」という感覚と「実際にできる」ことの間には、想像以上の大きな隔たりがあります。

障害年金の初診日特定は、まさに「餅は餅屋」の典型例です。 専門家への依頼は費用ではなく、あなたの受給権を確実に守るための「必要金額」として、ぜひご検討ください。

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