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子宮頸がんでも障害年金は受け取れる?手術後の排尿障害・リンパ浮腫・抗がん剤治療を練馬区の社労士が解説

 子宮頸がんの治療が始まると、病気そのものへの不安に加え、これからの仕事や暮らし、収入のことも気になるものです。手術後の体調が思うように戻らない。放射線治療や薬物療法を続けながら働くことが難しい。治療が一段落しても、排尿のトラブルや足のむくみなどが残っている。

そんな状況で、「障害年金は自分にも関係があるのだろうか」と考える方もいらっしゃいます。

 子宮頸がんも、障害年金の対象になる可能性があります。 ただし、子宮頸がんという診断名や手術歴だけで、受給の可否が決まるわけではありません。がんそのものや治療の影響による障害の状態、日常生活・仕事への制限に加え、初診日や保険料の納付状況などを確認する必要があります。

子宮頸がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法などがあります。治療後に起こり得る困りごとも、排尿のトラブル、リンパ浮腫、倦怠感、消化管や尿路への影響などさまざまです。だからこそ、ほかのがんの記事をそのまま自分に当てはめず、子宮頸がんの治療経過と現在の状態に沿って考えることが大切です。

この記事では、練馬区の社労士事務所アシストが、子宮頸がんで障害年金を検討するときのポイントを分かりやすくお伝えします。

子宮頸がんと障害年金

 障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限が生じた場合に、現役世代の方も含めて請求できる公的年金です。「働いている人には関係がない制度」、「がんの治療が終わるまで考えられない制度」ではありません。一方、治療を受けていれば必ず支給される制度でもありません。

 日本年金機構の「悪性新生物による障害」の認定基準では、がんの組織所見や検査結果、転移の有無、病状の経過、治療効果などを参考にしながら、具体的な日常生活状況を踏まえて総合的に認定するとされています。がんそのものによる障害だけでなく、がんに対する治療の結果として生じた全身の衰弱や機能障害も検討の対象です。

 つまり、申請の可能性を考えるうえでは、「子宮頸がんの治療を受けた」という事実に加えて、治療や病状によって何が難しくなったのかを具体的に確認する必要があります。

 例えば、以前は一人でできた買い物や家事に手助けが必要になった、勤務時間を減らさなければならなくなった、外出時に排尿の問題が大きな負担になっている、といった事情です。同じ治療を受けていても、その後の症状や生活への影響は一人ひとり異なります。

治療後に確認したい症状

手術後の排尿トラブルやリンパ浮腫

 子宮頸がんの手術後には、排尿のトラブルや便秘が起こることがあります。また、リンパ節を切除した場合には、足や下腹部のリンパ浮腫が起こることもあります。国立がん研究センターの「がん情報サービス」も、こうした症状を子宮頸がん治療後の日常生活への影響として挙げています。

ただし、「むくみがある」、「尿が出にくい」という症状名だけで、障害年金の等級は決まりません。例えば、足の状態によって移動や立ち仕事がどの程度制限されているか。排尿の問題によって外出や勤務にどのような支障があるか。医療機関での治療状況と併せて、日常生活・労働への影響を確認します。

 症状が続いていても、「手術後だから仕方がない」、「周囲にも話しにくい」と、診察時に詳しく伝えていない方もいるかもしれません。障害年金の準備以前に、困っている症状については主治医に相談してください。そのうえで、制度上の対象になるかを確認していきましょう。

放射線治療後の症状

 子宮頸がんの放射線治療では、治療中や治療直後にだるさ、下痢などが生じることがあります。また、治療から数か月〜数年たってから、消化管や尿路などに影響が現れる場合もあります。治療が終わった後に生じる症状を含めて、医療機関に相談することが大切です。

 障害年金についても、「放射線治療を終えたから、もう検討できない」とは限りません。治療後に症状が残り、生活や仕事に一定の制限が生じている場合には、その原因や経過、障害の程度を確認します。ただし、晩期合併症があることだけで受給が決まるわけではありません。

 例えば、通院の頻度だけでなく、日常的にどのような症状があり、外出・家事・勤務に何ができなくなっているかを整理しておくことが役立ちます。

薬物療法によるつらさ

 子宮頸がんの薬物療法では、使用する薬によって副作用が異なります。がん情報サービスは、細胞障害性抗がん薬の主な副作用として、吐き気や嘔吐、白血球減少、手足のしびれなどの末梢神経障害を挙げています。症状の程度には個人差があるため、気になる症状は主治医に伝えることが重要です。

 障害年金の認定では、薬物療法を受けている事実だけでなく、その影響を含めて、どれほど生活や仕事に制限が生じているかを見ます。「治療後は数日間、身の回りのことにも助けが必要になる」「しびれによって従来の業務が難しくなった」など、困っていることを具体的に振り返ってみてください。

再発・転移による生活の変化

 子宮頸がんが再発・転移した場合には、病状や治療内容が変わり、以前より日常生活に大きな制限が生じることがあります。ただし、再発や転移という事実だけで、障害年金の受給が自動的に決まるわけではありません。認定基準では、転移の有無、病状の経過、治療の効果と、実際の日常生活の状況を併せて確認します。

以前は障害年金の基準に該当しなかった方の後に状態が悪化した場合には、現在の状態による「事後重症請求」を検討できることがあります。治療の節目や働き方が変わった時点で、一度要件を確認することが大切です。

人工肛門・尿路変更術の場合

 子宮頸がんの再発などに対する治療では、病状によって、直腸や膀胱などを含めた手術が検討される場合があります。がん情報サービスは、骨盤内の再発に対して骨盤除臓術が行われ、人工肛門や尿を体外へ出すための手術が必要になる場合があると説明しています。ただし、こうした手術が子宮頸がんの方全員に行われるわけではありません。

 日本年金機構の認定基準では、人工肛門の造設、新膀胱の造設、尿路変更術について、3級と認定する取扱いが定められています。また、人工肛門の造設に加えて新膀胱の造設または尿路変更術を行った場合など、一定の組み合わせでは2級と認定する取扱いがあります。障害の程度を認定する時期にも、それぞれ特別な定めがあります。

 ただし、ここでも加入制度の確認が欠かせません。3級があるのは障害厚生年金であり、障害基礎年金の対象等級は1級・2級です。手術を受けた方が全員同じように受給できる、という意味ではありません。初診日にどの年金制度に加入していたか、保険料納付要件を満たすか、ほかの障害を含めてどのような状態かを確認する必要があります。

申請前に確認する3点

1.初診日はいつか

 障害年金における初診日は、障害の原因となった病気について初めて医師の診療を受けた日です。子宮頸がんと確定診断された日や、手術日と必ずしも一致しません。最初の医療機関から検査・治療を行った病院まで、受診の経過を確認する必要があります。

 子宮頸がんでは、検診、精密検査、治療と、複数の医療機関に関わることがあります。ただし、「検診を受けた日」が必ず障害年金上の初診日になると決めつけることはできません。検診後にいつ、どこで医師の診療を受けたかを含め、個別の受診歴に沿って確認することが大切です。初診日の証明には、通常、最初に受診した医療機関の受診状況等証明書などを使用します。「かなり前の受診で、手元に資料がない」という場合も、確認できる医療機関や書類から順に整理しましょう。nenkin+1

2.初診日の加入制度と納付状況

 初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金を検討します。障害基礎年金は原則として1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級が対象です。仕事を辞めた日や扶養に入った時期と受診日が近い場合は、加入記録を確認することが特に重要です。

 併せて、原則保険料の納付要件を満たす必要があります。「未納があったと思うから無理」と自己判断せず、初診日を基準に年金記録を確認してください。

3.どの時点の状態で請求するか

 障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。ただし、人工肛門の造設や尿路変更術などには、認定時期について特別な取扱いがあります。いつ、どのような治療や手術を受けたかを確認したうえで、請求の時期を検討します。

 障害認定日時点で基準に該当していた場合は、その時点の状態による請求を検討します。その時点では該当せず、後から状態が悪化した場合には、事後重症による請求を検討します。事後重症請求で受給が認められた場合、年金は請求日の翌月分からとなるため、現在の状態について相談したい方は、時期にも注意が必要です。

診断書の前に整理したいこと

 障害年金の請求では、初診日を明らかにする書類、診断書、病歴・就労状況等申立書などの準備が必要になります。どの診断書や資料が必要かは、請求する内容や障害の状態によって確認します。

 特に子宮頸がんの場合、「治療歴は説明できるけれど、暮らしへの影響をどう書けばよいか分からない」という方もいるでしょう。次のような点を、できるだけ具体的に振り返ってみてください。

  • 最初の受診から診断、手術、放射線治療、薬物療法までの経過。

  • 現在も続く症状と、症状が強い日・比較的落ち着いている日の違い。

  • 排尿や排便の問題によって、外出や仕事に生じている支障。

  • 足のむくみ、しびれ、倦怠感などによって難しくなった動作。

  • 家事、買い物、移動、身の回りのことに必要な援助。

  • 休職、欠勤、短時間勤務、担当業務の変更といった働き方の変化。

 「働いている」とだけ伝えると、勤務時間を短くしていることや、職場で配慮を受けていることが見えにくくなります。「家事ができる」とだけ伝えると、家族に任せている部分や、途中で休まなければならない状況が伝わらないこともあります。できることと難しいことの両方を、事実に沿って整理することが大切です。認定基準も、具体的な日常生活状況を踏まえた総合的な判断を定めています。

 主治医には、普段の診察で話しきれていない症状や生活上の困りごとがあれば伝えましょう。診断書の医学的な判断・作成を行うのは医師です。社労士は、請求に必要な受診歴や生活・就労状況を整理し、申請の手順を確認することでお手伝いします。

よくあるご質問

子宮頸がんの手術を受けたら、必ず障害年金を受け取れますか?

 いいえ。手術を受けた事実だけで受給は決まりません。がんそのものや治療後の障害の状態、生活・仕事への影響と、初診日・保険料納付要件などを確認します。

子宮を摘出した場合、必ず対象になりますか?

 子宮の摘出という事実だけで、障害年金の等級が自動的に決まるわけではありません。手術後に生じた障害の内容と程度を、認定基準に沿って確認する必要があります。

治療を終えた後の排尿障害やリンパ浮腫も相談できますか?

 相談できます。子宮頸がんの治療後には、排尿のトラブルやリンパ浮腫が生じることがあります。ただし、症状があるだけで必ず受給できるわけではなく、症状の程度や生活・仕事への影響、医療機関での確認状況などを踏まえて検討します。

働きながらでも申請できますか?

働いていることだけで、直ちに対象外とはいえません。どのような業務を、どの程度の時間、どのような配慮を受けて続けているかを含めて、実際の状態を確認することが大切です。nenkin.go+1

子宮体がんの記事と、何が違いますか?

 子宮頸がんと子宮体がんは、発生する部位や治療の検討事項が異なります。障害年金では、いずれも病名だけで判断するのではなく、それぞれの治療経過と残っている障害に沿って確認します。社労士事務所アシストのサイトには子宮体がんの記事もありますので、ご自身の診断名に合う情報を確認してください。

練馬区のアシストへ

 子宮頸がんの障害年金は、診断名だけを見て「受け取れる」「受け取れない」と判断できるものではありません。最初の受診はいつか。手術や治療の後、どのような症状が残っているか。家事や仕事は以前と比べてどう変わったか。一つずつ確認することで、請求に向けて必要なことが見えてきます。

 「申請できるか分からない」、「検診から診断まで複数の病院にかかった」、「仕事は続けているが、体調に合わせて勤務を減らした」。そのような段階からでも、ご相談ください。受給を約束するのではなく、まずは現在分かっている事実と、これから確認すべきことを整理します。

 

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