コラム column
障害年金の等級って何?知っておきたい障害の程度の基準
障害年金を受給するためには、ご自身の障害の状態が「障害等級」に該当している必要があります。この障害等級は、障害の重さに応じて1級、2級、3級に分けられています。今回は、この障害等級について、わかりやすく解説します。
障害等級の基本的な考え方
障害年金の等級は、障害の重さに応じて1級(最も重い)、2級、3級の3つに分かれています。国民年金法施行令別表(1級、2級)および厚生年金保険法施行令別表第1(3級)という法律で、それぞれの等級の基準が定められています。
重要なポイント 障害基礎年金(国民年金)が支給されるのは、1級または2級に該当する場合のみです。3級は障害厚生年金(厚生年金)のみの等級となります。
各等級の基準をわかりやすく解説
1級 他人の介助がなければ日常生活ができない状態
基本的な考え方
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものです。これは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度の障害を指します。
具体的なイメージ
身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないものです。病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるような状態です。
具体的な障害の例
-
両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
-
両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
-
両上肢の機能に著しい障害を有するもの
-
両上肢の全ての指を欠くもの
-
両下肢の機能に著しい障害を有するもの
-
両下肢を足関節以上で欠くもの
-
体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
-
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
2級 日常生活が著しく制限される状態
基本的な考え方
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものです。この程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものです。
具体的なイメージ
家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないものです。病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるもの、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものです。
具体的な障害の例
-
両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
-
両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
-
平衡機能に著しい障害を有するもの
-
そしゃくの機能を欠くもの
-
音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
-
一上肢の機能に著しい障害を有するもの
-
一下肢の機能に著しい障害を有するもの
-
一下肢を足関節以上で欠くもの
-
体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
-
精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
3級 労働が著しく制限される状態
基本的な考え方
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものです。日常生活にはほとんど支障はありませんが、労働については制限がある状態を指します。
重要 3級は障害厚生年金のみの等級です。国民年金加入中に初診日がある方は、3級では障害年金を受給できません。
具体的な障害の例
-
両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの
-
両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
-
そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
-
脊柱の機能に著しい障害を残すもの
-
一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
-
一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
-
長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
-
精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
障害の種類は多岐にわたります
障害認定基準には、以下のような様々な障害の種類が定められています。
-
眼の障害
-
聴覚の障害
-
鼻腔機能の障害
-
平衡機能の障害
-
そしゃく・嚥下機能の障害
-
音声又は言語機能の障害
-
肢体の障害
-
精神の障害
-
神経系統の障害
-
呼吸器疾患による障害
-
心疾患による障害
-
腎疾患による障害
-
肝疾患による障害
-
血液・造血器疾患による障害
-
代謝疾患による障害
-
悪性新生物による障害
-
高血圧症による障害
-
その他の疾患による障害
-
重複障害
障害認定基準とは
障害年金の等級を認定する際の基準として、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」が定められています。この認定基準は、障害の種類ごとに、障害の程度を認定する詳細な基準を示しています。
また、精神の障害については、平成28年9月1日から「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されており、より適正な等級判定が行われています。
視力の測定について
視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によって測定します。つまり、メガネやコンタクトレンズで矯正した後の視力で判定されることになります。
等級は診断書の内容で決まります
障害年金の等級は、医師が作成する診断書の内容に基づいて、日本年金機構が認定します。同じ病名でも、症状の程度や日常生活への影響の度合いによって、認定される等級は異なります。
まとめ
障害年金の等級は、障害の程度を客観的に示す重要な基準です。
-
1級 他人の介助なしでは日常生活ができない状態(活動範囲がおおむねベッド周辺)
-
2級 日常生活が著しく制限され、労働ができない状態(活動範囲がおおむね病棟内・家屋内)
-
3級 労働が著しく制限される状態(厚生年金のみ)
適切な診断書の作成依頼や申請手続きのサポートを受けることで、適正な等級での認定につながります。
参考 日本年金機構
#障害年金
#練馬区 社労士
障害年金及び労務に関する様々なご相談を受け付けております。