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障害年金はいつ請求できるの?知っておきたい請求時期の基本
障害年金を受給するためには、適切な時期に請求することが大切です。請求時期によって受け取れる年金額が大きく変わることもありますので、正しい知識を持っておきましょう。今回は、障害年金の請求時期について、わかりやすく解説します。
障害年金の請求時期は主に2つのパターン
障害年金の請求時期は、障害の状態に該当した時期に応じて、主に次の2つの請求方法があります。
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障害認定日による請求
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事後重症による請求
それぞれの請求方法について、具体例を交えながら詳しく見ていきましょう。
障害認定日による請求とは
基本的な考え方
障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月分から年金を受給できます。これを「障害認定日による請求」といいます。
請求書は障害認定日以降、いつでも提出できますが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度です。
具体例で理解しよう
ケース1:障害認定日から間もなく請求した場合
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初診日 平成30年4月25日
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障害認定日(初診日から1年6か月後) 令和元年10月25日
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障害の状態 障害認定日の時点で障害等級に該当
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年金請求日 令和元年11月25日
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年金の支給開始 令和元年11月分から
解説
このケースでは、初診日が平成30年4月25日のため、障害認定日は1年6か月を経過した日である令和元年10月25日となります。
障害認定日において障害等級に該当する障害の状態にあれば、障害認定日以降に障害年金を請求することで、障害認定日の翌月分から年金を受け取ることができます。
審査から受給までの流れ
年金決定のお知らせが届くまでには審査期間が必要です。その後、初回振込日は「年金決定のお知らせ」が届いてからおよそ50日後が目安となります。
事後重症による請求とは
基本的な考え方
障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには、請求日の翌月から障害年金を受給できます。これを「事後重症による請求」といいます。
ただし、請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。
具体例で理解しよう
ケース2:障害認定日後に病状が悪化した場合
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初診日 平成22年10月
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障害認定日(初診日から1年6か月後) 平成24年4月
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障害認定日の状態:障害年金に該当しない軽い状態
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病状悪化 令和元年10月10日に人工透析を開始(2級相当)
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年金請求日 令和元年10月25日
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年金の支給開始 令和元年11月分から(請求日の翌月分)
解説
このケースでは、初診日が平成22年10月のため、障害認定日は平成24年4月となります。
障害認定日には症状が軽かったので、障害年金には該当しませんでした。しかし、令和元年10月10日から人工透析(2級相当)を開始したため、人工透析の開始日以降に障害年金を請求することで、事後重症による障害年金を請求日の翌月分から受け取ることができます。
事後重症請求で注意すべき重要なポイント
請求が遅れると受け取り開始が遅くなる
事後重症による請求では、請求日の翌月分から年金が支給されます。つまり、請求が遅くなると年金の受給開始時期が遅くなってしまいます。
請求時期による違いの例
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令和元年10月に請求した場合 令和元年11月分から受給
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令和元年11月に請求した場合 令和元年12月分から受給
このように、請求日が1か月遅れるだけで、受け取り開始月も1か月遅れてしまいます。
65歳の誕生日の前々日までに請求が必要
事後重症による請求は、65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。この期限を過ぎてしまうと、事後重症による請求はできなくなりますので、十分にご注意ください。
障害等級に該当したら速やかに請求を
障害等級に該当する障害の状態になった場合は、すみやかに請求することが大切です。請求が遅れると、以下のようなデメリットがあります。
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事後重症請求の場合:受給開始時期が遅れ、受け取れる年金総額が減少する
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65歳を過ぎると事後重症請求ができなくなる
請求前に確認すべきこと
障害年金を受け取るには、年金の保険料納付状況などの条件が設けられています。請求を検討される際は、以下の点を確認しましょう。
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初診日が証明できるか
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保険料納付要件を満たしているか
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障害の状態が障害等級に該当しているか
審査から受給までの期間
障害年金の請求書が年金事務所の窓口などに提出されると、審査が行われます。支給が決定した場合、請求者の元に年金決定のお知らせと年金証書が送付されます。
初回の障害年金の支給は、年金証書等が請求者の手元に届いてからおおよそ50日後となっています。
まとめ
障害年金の請求時期には、主に2つのパターンがあります。
障害認定日による請求
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障害認定日の時点で障害等級に該当している場合
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障害認定日の翌月分から年金を受給できる
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遡及して受けられるのは5年分まで
事後重症による請求
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障害認定日には該当せず、その後病状が悪化した場合
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請求日の翌月分から年金を受給できる
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65歳の誕生日の前々日までに請求が必要
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請求が遅れると受給開始時期も遅れる
障害等級に該当する状態になった場合は、できるだけ早く請求することが大切です。
参考 日本年金機構
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