コラム column
「聴きにくい」不安と向き合うあなたへ ― 聴覚障害と障害年金
会議で何を話しているか分からない。電話の相手の声が聞き取れず、何度も聞き返してしまう。家族の呼びかけに気づかず、「無視された」と誤解される。聴覚の障害と向き合いながら、こうした困難を抱え、「このまま仕事を続けられるのか」、「周りに迷惑をかけている」と不安を感じていませんか。
聴覚の障害は、単に「音が聞こえない」というだけではありません。コミュニケーション全体に影響を及ぼし、仕事、人間関係、日常生活の安全性にまで、深刻な制約をもたらします。補聴器を使っていても完全には聞こえず、騒がしい場所では会話が成立しないことも少なくありません。
そんな「聞こえない」を抱えるあなたに、知っていただきたい制度が障害年金です。これは、年金保険料を納めてきた方が、病気や障害によって生活や仕事に大きな制限を受けたときに受け取ることができる、公的な権利です。
聴覚障害が奪うのは「つながり」です
聴覚の障害を抱える方が日常生活や仕事で直面する困難は、周囲には深刻さが伝わりにくいものです。
・電話対応ができず、職種や業務内容が大きく制限される
・会議や打ち合わせで発言内容が聞き取れず、仕事の質や評価に影響する
・複数人での会話についていけず、職場での孤立を感じる
・後ろからの声や呼びかけに気づかず、「態度が悪い」と誤解される
・補聴器を使っても、雑音の多い場所では会話が聞き取れない
・警報や車の音が聞こえず、危険に気づけないことがある
さらに、見た目では分かりにくいため、「補聴器があるから大丈夫でしょ」、「ちゃんと聞いてないだけでは」と言われ、実際の困難さが理解されないことも大きなストレスになります。
それでも、「障害者手帳を持っていないから」、「まだ何とか働けているから」と、自分の困難さを表に出すことをためらう方も少なくありません。
障害年金の審査では、病名ではなく「その障害によってどの程度、日常生活や労働に支障が出ているか」が重視されます。聴覚障害の申請では、この「聞こえないことで失われるつながり」を、具体的な生活場面や仕事の場面に落とし込んで伝えることが鍵になります。
なぜ聴覚障害の障害年金申請は難しいのか
障害年金の審査は、原則として書類のみで行われます。あなたの状態は、「診断書」や「病歴・就労状況等申立書」に書かれた情報だけで判断されます。
ところが、聴覚障害の障害年金申請には次のような難しさがあります。
・聴力検査の数値(平均純音聴力レベル)が、障害年金の基準とどう関係するか分からない
・補聴器装用時の聴力と、実際の聞き取り能力にギャップがあることを説明しにくい
・「電話ができない」、「会議で困る」といった具体的な支障が、診断書に反映されにくい
・申立書に「聞こえません」とだけ書いても、仕事や生活への影響が伝わらない
その結果、本来は障害年金の対象となり得る状態であっても、「書類からは日常生活や就労の制限が読み取れない」と判断され、不支給になってしまうケースもあります。
特に聴覚障害は、検査数値と実際のコミュニケーション困難度が必ずしも一致しないため、「数値だけでは軽度に見える」場合でも、職場や日常での具体的な困難を丁寧に説明する必要があります。
障害年金を扱う特定社会保険労務士として
障害年金を扱う特定社会保険労務士として、聴覚障害の方の申請代行を行っています。
単なる書類作成の代行ではなく、次のようなサポートを行います。
・発症の経緯、治療歴、補聴器の使用状況、現在の聞こえ方や日常生活の様子を時間をかけて丁寧に聞き取る
・「どんな場面で困るか」「仕事のどんな業務に支障があるか」を具体的な言葉に整理する
・聴力検査の結果や語音明瞭度、補聴器装用時の聴力を踏まえ、診断書の記載ポイントを確認する。
・病歴・就労状況等申立書を、「コミュニケーションの困難」「業務制限の具体例」が明確に伝わるように作り込む
・筆談、メール、FAXなど、あなたのコミュニケーション方法に合わせて柔軟に対応する
聴覚障害は、コミュニケーションの障害であり、周囲からの理解を得ることが最も難しい障害のひとつです。
だからこそ、専門家が間に入り、あなたの言葉を整理しながら「制度に伝わる形」に翻訳していくことが大切だと考えています。
「補聴器をつけているから」と諦めないでください
聴覚障害の方の中には、「補聴器をつけているから障害年金の対象外では」「まだ何とか働けているから申請してはいけない」と思い込んでいる方が少なくありません。
また、「障害者手帳を持っていないから無理」「聴力検査の数値がそこまで悪くないから」という理由で、障害年金の申請をあきらめている方もいらっしゃいます。
しかし、障害年金は障害者手帳とは別の制度であり、手帳がなくても受給できる場合があります。
また、補聴器を使用していても、騒音下での聞き取りが困難であったり、電話対応や複数人との会話ができないなど、仕事や生活に大きな制限がある場合には、受給の可能性があります。さらに、両耳の平均純音聴力レベルや語音明瞭度などを総合的に評価して判断されます。
・自分の聴力レベルで障害年金の対象になるのか知りたい
・補聴器を使っているが、職場でのコミュニケーションに限界を感じている
・電話対応ができず、職種転換や退職を考えている
・聴力検査の数値が、障害年金の基準に該当するか知りたい
こうした段階でのご相談も歓迎しています。筆談、メール、FAXなど、あなたに合ったコミュニケーション方法で、安心して進めていきます。
聴覚障害と向き合いながら、「これから」の生活を守っていくために、障害年金は大切な選択肢のひとつです。
障害年金を扱う特定社会保険労務士として、あなたが一人で抱えてきた「聞こえない孤立感」や「理解されない悔しさ」に寄り添いながら、申請の準備から提出、その後のフォローまでしっかりとサポートします。
まずは、お話を伺うところから始めます。あなたのやりやすい方法で、どうぞお気軽にご相談ください。
障害年金及び労務に関する様々なご相談を受け付けております。