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うつ病で障害年金はもらえる?認定基準・等級判定ガイドライン・働きながらの受給を特定社会保険労務士が解説

 「うつ病と診断されて休職・退職したが、今後の生活費が不安」、「働いてはいるが、以前のようには動けず、いつまで続けられるかわからない」。うつ病は、障害年金の申請理由として最も相談件数が多い傷病です。厚生労働省の統計によれば、精神・知的障害は新規裁定(新たに受給を開始する方)の約67%、更新にあたる再認定の約79%を占めており、その中でもうつ病を含む気分(感情)障害は代表的な対象疾患です。

 本コラムでは、うつ病で障害年金を受給するための考え方、認定基準・判定ガイドラインの仕組み、働きながらの受給の可否について、障害年金専門の特定社会保険労務士の視点から詳しく解説します。

うつ病は「精神の障害」として審査される

うつ病は認定基準上「精神の障害」のうち「気分(感情)障害」に分類され、統合失調症や双極性障害などと同じ枠組みで審査されます。認定基準の条文では、各等級はおおむね次のように定義されています。

  • 1級:高度の気分・意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、これが持続又は頻繁に繰り返すため、常時の援助が必要なもの

  • 2級:気分・意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、これが持続又は頻繁に繰り返すため、日常生活が著しい制限を受けるもの

  • 3級(厚生年金のみ):病状は著しくないが、これが持続又は繰り返し、労働が著しい制限を受けるもの

 3級は障害厚生年金にのみ存在する等級で、障害基礎年金には1級・2級しかありません。そのため、初診日が国民年金加入期間(自営業・専業主婦・学生等)にある場合は、2級以上に該当する重さでないと受給できない点に注意が必要です。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン

 平成28年9月から運用されている「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」により、診断書の記載内容から等級の目安を導き出す仕組みが整備されています。

 具体的には、診断書裏面の「日常生活能力の判定」(食事、身辺の清潔保持、金銭管理、通院・服薬、対人関係、身辺の安全保持、社会性の7項目を4段階評価した平均=判定平均)を横軸、「日常生活能力の程度」(5段階評価)を縦軸として、両者が交わる位置から等級の目安を判定します。

程度\判定平均 3.5以上 3.0以上3.5未満 2.5以上3.0未満 2.0以上2.5未満 1.5以上2.0未満
目安 1級又は2級 1級又は2級/2級 2級/2級又は3級 2級又は3級/3級非該当 3級/3級非該当

 このガイドラインはあくまで「目安」であり、実際の等級は診断書の記載内容や病歴・就労状況等申立書の内容を踏まえて総合的に判定されます。数値上のボーダーライン上にいる場合でも、日常生活の実態を具体的に伝えることで、より実態に即した等級判定につながる可能性があります。

働きながらでも受給できるのか

 「働いていると障害年金はもらえないのでは」という誤解は非常に多いのですが、制度上、就労の有無自体が受給の可否を決める要件にはなっていません。

 判定ガイドラインでも、就労していること自体をもって直ちに日常生活能力が向上したとは捉えず、仕事の種類、職場での配慮の有無、就労の頻度や内容を総合的に判断するとされています。実際に、障害者雇用や短時間勤務、周囲の配慮を受けながら働いている方が、障害厚生年金3級や2級を受給している例は珍しくありません。

 重要なのは「働けているかどうか」ではなく「その働き方を維持するためにどれだけの配慮や制限が必要か」という点です。出勤できていても、帰宅後は動けない、対人関係で強い負担を感じている、通院や服薬管理に家族の支援が必要といった具体的な実態を診断書と申立書の双方に反映できるかが、審査結果を左右します。

申請で特に重要な3つのポイント

初診日の特定と年金制度の確認
 うつ病は心療内科・精神科への受診が遅れがちで、内科や他の診療科を最初に受診しているケースも多くあります。どの受診が「初診日」にあたるかによって、請求できる年金の種類(3級の有無を含む)が変わるため、慎重な整理が必要です。

診断書の記載内容と実態の整合性
 診断書の「日常生活能力の判定」欄の評価が、実際の生活実態より軽く記載されてしまうと、本来受けられるはずの等級に届かないことがあります。主治医に日頃の状態を正確に伝え、診察時の様子だけでなく日常生活全体を反映した記載を依頼することが重要です。

就労状況の伝え方
 働いている場合は「働けている」という事実だけでなく、どのような配慮を受けているか、どの程度の負担を感じているかを病歴・就労状況等申立書に具体的に記載することが、実態に即した等級判定につながります。

令和8年10月からの審査体制見直しと不支給割合の上昇

 近年、精神障害を中心に障害年金の審査が厳格化する傾向が報告されています。厚生労働省の調査によると、令和6年度の新規裁定における不支給割合は全体で13.0%(前年度8.4%)に上昇し、精神障害に限ると6.4%から12.1%へとほぼ倍増しました。また、不支給となった事案の75.3%が、本来の目安よりも下位の等級に判定されていたことも明らかになっています。

 この問題を受け、厚生労働省は審査体制の見直しを決定し、令和8年10月以降、不支給・支給停止・減額改定など請求者に不利益となる決定については、原則1人の認定医による審査から複数の認定医による審査に順次移行することとなりました。あわせて、職員による等級案の事前作成も廃止され、医学的判断はより認定医に委ねられる運用に改められます。日本年金機構による過去の不支給事案の再点検も進んでおり、令和8年3月31日時点で点検済み1万4,841件のうち444件が「不支給から支給」へ変更されています。

 このような状況を踏まえると、うつ病についても、診断書の記載内容と病歴・就労状況等申立書の記載内容が実態を正確に反映しているかどうかが、これまで以上に受給の可否を左右する重要な要素になっています。

社労士事務所アシストにご相談いただくメリット

 うつ病の障害年金請求は、判定ガイドラインの数値上の目安と実際の生活実態にズレが生じやすく、診断書の記載内容や申立書の書き方によって結果が大きく変わる分野です。社労士事務所アシストでは、特定社会保険労務士が初診日の整理から診断書内容の確認、就労状況の伝え方まで一貫してサポートし、実態に見合った等級での受給を目指します。

よくある質問(FAQ)

Q. うつ病で休職中ですが、障害年金は申請できますか?
A. 申請できます。休職中かどうかにかかわらず、初診日要件・保険料納付要件・障害認定基準への該当が満たされていれば請求可能です。

Q. フルタイムで働いていても3級を受給できますか?
A. 可能性はあります。就労の有無だけでなく、労働に著しい制限があるかどうかが判断基準になります。

Q. 一度不支給になったら再申請はできませんか?
A. 再申請は可能です。不支給の理由(診断書の記載内容や申立書の不足等)を分析し、内容を補強して再度請求することで結果が変わる場合があります。

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