コラム column
大人の発達障害(ASD・ADHD)で障害年金はもらえる?初診日の特殊ルールと知的障害との違いを特定社会保険労務士が解説
「仕事が長続きせず、対人関係でも失敗を繰り返してしまう」、「大人になってから発達障害と診断され、これまでの生きづらさに納得したが、今後の生活が不安」。近年、大人になってから自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)と診断される方が増えており、社労士事務所アシストにも同様のご相談が寄せられています。
発達障害は障害者手帳の有無にかかわらず障害年金の対象になり得る一方、初診日の考え方が他の精神疾患と大きく異なるという特殊な取り扱いがあります。
本コラムでは、発達障害で障害年金を受給するための考え方、知的障害との違い、申請時の注意点を、障害年金専門の特定社会保険労務士の視点から詳しく解説します。
発達障害の初診日には特殊なルールがある
発達障害(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、ADHD、学習障害等)は、本来は低年齢で発症する疾患とされていますが、認定基準上は次のような特殊な初診日ルールが設けられています。
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知的障害を伴わない発達障害の場合、症状により初めて医療機関を受診した日が20歳以降であれば、その受診日を初診日とする
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幼少期に症状があっても20歳前に受診していなければ、初診日は「実際に受診した日」であり、幼少期にさかのぼらない
これは非常に重要なポイントです。つまり、大人になってから初めて心療内科や精神科を受診し発達障害の診断を受けた場合、その受診日が初診日となり、初診日時点で厚生年金に加入していれば障害厚生年金(3級を含む)の対象になり得ます。一方、20歳前に受診歴がある場合は「20歳前傷病」として扱われ、保険料の納付要件を問われずに障害基礎年金を請求できます。
発達障害と知的障害の違い
発達障害の申請でしばしば混同されるのが「知的障害」との違いです。この違いは初診日の扱いに直結する重要な論点です。
なお、知的障害と診断された方に後から発達障害が診断された場合は、原則として「同一疾病」として扱われる取り扱いになっている点にも注意が必要です。
発達障害と他の精神疾患が併存する場合
発達障害の方が、二次障害としてうつ病や適応障害などを発症するケースは非常に多く見られます。この場合、どちらの傷病を主として申請するか、あるいは両方を併せて審査してもらうかによって、初診日の考え方や等級判断が変わってくることがあります。特に、発達障害の特性による生きづらさが積み重なった結果として二次的な精神疾患を発症している場合は、症状の全体像を診断書と申立書の両方で正確に伝えることが重要です。
申請で特に重要な3つのポイント
「本当の初診日」をどこに置くかの見極め
発達障害の症状に気づかず、別の症状(不眠、対人不安、抑うつ等)で心療内科を受診していたケースでは、その受診が発達障害の初診として扱われるかどうかの判断が難しいことがあります。受診状況等証明書の記載内容や当時の診断名を精査する必要があります。
保険料納付要件の確認
初診日が20歳以降で厚生年金・国民年金いずれかの加入期間にある場合、初診日前日時点の保険料納付状況が問われます。20歳前傷病に該当する場合はこの要件が問われないため、初診日がどちらに該当するかの判断が受給の可否を左右します。
日常生活・就労の困難さを具体的に伝える
発達障害は外見からは分かりにくく、知的水準が高い場合は特に「困難さが伝わりにくい」という課題があります。転職を繰り返している、対人関係のトラブルが続いている、感覚過敏で特定の環境に耐えられないといった具体的なエピソードを病歴・就労状況等申立書に積み上げることが、実態に即した等級判断につながります。
令和8年10月からの審査体制見直しと不支給割合の上昇
近年、精神障害を中心に障害年金の審査が厳格化する傾向が報告されています。厚生労働省の調査によると、令和6年度の新規裁定における不支給割合は全体で13.0%(前年度8.4%)に上昇し、精神障害に限ると6.4%から12.1%へとほぼ倍増しました。また、不支給となった事案の75.3%が、本来の目安よりも下位の等級に判定されていたことも明らかになっています。
この問題を受け、厚生労働省は審査体制の見直しを決定し、令和8年10月以降、不支給・支給停止・減額改定など請求者に不利益となる決定については、原則1人の認定医による審査から複数の認定医による審査に順次移行することとなりました。あわせて、職員による等級案の事前作成も廃止され、医学的判断はより認定医に委ねられる運用に改められます。日本年金機構による過去の不支給事案の再点検も進んでおり、令和8年3月31日時点で点検済み1万4,841件のうち444件が「不支給から支給」へ変更されています。
このような状況を踏まえると、発達障害についても、初診日の特定と生活実態の記載内容を漏れなく揃えることが、これまで以上に受給の可否を左右する重要な要素になっています。
社労士事務所アシストにご相談いただくメリット
発達障害の障害年金請求は、初診日の考え方が他の精神疾患と異なる特殊な分野であり、知的障害との違いや二次障害との関係性など、正確な理解がないと請求そのものを誤ってしまうリスクがあります。社労士事務所アシストでは、特定社会保険労務士が受診歴を丁寧にたどりながら正しい初診日を見極め、診断書・申立書の内容確認まで一貫してサポートいたします。
よくある質問(FAQ)
Q. 30代で初めて発達障害と診断されましたが申請できますか?
A. 可能です。知的障害を伴わない場合、大人になって初めて受診した日が初診日となり、その時点の年金加入状況に応じて障害基礎年金・障害厚生年金いずれも対象になり得ます。
Q. 発達障害と知的障害はどう違うのですか?
A. 発達障害は実際に受診した日が初診日になるのに対し、知的障害は出生日が初診日として扱われる点が大きく異なります。
Q. うつ病も併発していますが、どちらで申請すればよいですか?
A. 症状の経過や初診日の状況によって判断が変わります。二次障害の発症経緯を整理した上で、どちらを主傷病とするか専門家に相談することをおすすめします。
まずは無料相談で、これまでの受診歴と現在の生活状況をお聞かせください。
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