コラム column
- 障害年金
- 2026.11.03
大動脈解離(スタンフォードB型)の障害年金|人工血管・ステントグラフト後に知っておきたい事 特定社労士が解説
「急性大動脈解離(スタンフォードB型)で入院した。仕事に戻れるか不安だ」
「ステントグラフトの手術を受けたが、障害年金の対象になるのか分からない」
「手術をしていない保存的治療だと、難しいと言われた」
こうしたお悩みに、障害年金を扱う特定社会保険労務士としてお答えします。結論からお伝えします。スタンフォードB型でも、人工血管やステントグラフトを入れた場合は、障害厚生年金3級に認定される可能性があります。 ただし、手術を受けた事実だけでは決まりません。
初診日の年金制度、術後の生活状況、診断書の内容が重要です。
大動脈解離は障害年金の対象になるか
日本年金機構の障害認定基準では、次の状態を3級として示しています。
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胸部大動脈解離(Stanford分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入し、かつ一般状態区分表の「イ」または「ウ」に該当するもの
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胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に、難治性の高血圧を合併したもの
人工血管には、ステントグラフトも含まれます。基準の文言にスタンフォードB型が明記されており、A型だけでなくB型でも対象になり得ます。
一般状態区分表とは
一般状態区分表は、診断書に記載される日常生活や労働の状況を示す区分です。人工血管を入れた方の3級は、この区分が「イ」または「ウ」に該当することが条件です。
| 区分 | 状態の目安 |
|---|---|
| イ | 軽度の労働には従事できるが、それ以上の活動には著しい制限がある状態 |
| ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要で、軽労働はできない状態 |
手術後に職場へ復帰できていても、周囲の配慮や業務の制限があって成り立っている場合があります。人工臓器の装着は重要な要素ですが、それだけで自動的に認定されるわけではなく、日常生活の制限なども含めて総合的に判断されます。手術を受けたことと、術後の生活状況の両方が判断材料です。
最初に確認すべき「初診日の年金制度」
3級は、厚生年金だけの等級です。国民年金のみの方は、原則として3級の対象になりません。
| 初診日の加入制度 | 請求できる年金 | 等級 |
|---|---|---|
| 厚生年金(会社員・公務員など) | 障害厚生年金 | 1級・2級・3級 |
| 国民年金(自営業・無職など) | 障害基礎年金 | 1級・2級のみ |
大動脈解離は、突然の激しい痛みで救急搬送されることが多い病気です。そこで診断された日が初診日になるケースが多く、その時点で会社員として働いていれば、障害厚生年金の対象になる可能性があります。その後に退職して国民年金に切り替わっても、基準は初診日の加入制度です。
1年6か月を待たなくてよい特例
障害年金は、原則として初診日から1年6か月が経過した日(障害認定日)から請求できます。しかし、人工血管やステントグラフトを装着した場合には特例があります。初診日から1年6か月以内に装着した場合は、その手術日が障害認定日として扱われ、1年6か月を待たずに請求できます。
「1年半は待たなければならない」と思い込んで、請求の機会を逃してしまう方もいます。手術を受けた時点から、請求の準備を始められます。
手術をしていない保存的治療の場合
スタンフォードB型は、手術ではなく、降圧剤による保存的治療が中心となることが多い病気です。そのため「手術をしていないから対象外」と諦める方が少なくありません。
しかし、認定基準には、人工血管の挿入に加えて、胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に難治性の高血圧を合併したものも3級の対象として挙げられています。保存的治療を続けている場合でも、状態によっては検討の余地があります。症状の安定性、現在の状態、仕事や生活上の制限を、診断書で具体的に示すことが重要です。個別の状況によって結果は異なります。
診断書で確認される項目
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人工血管やステントグラフトの装着の有無と日付
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一般状態区分表(ア〜オ)の区分
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血圧の状況と治療内容
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自覚症状(胸痛、めまい、しびれなど)
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日常生活や労働の制限
ご本人が「そんなに悪くない」と感じていても、重いものを持てない、急な動作が危険、血圧管理のために生活を制限している、といった事情があるかもしれません。主治医に、日常の制限を具体的に伝えることが大切です。社労士が診断書の内容を指示することはできませんが、伝えるべき情報の整理をお手伝いします。
経過の中で合併症や再入院があった場合は、その経過も整理して伝えることが重要です。
保険料の納付要件
原則として、初診日の前日時点で、加入期間の3分の2以上の納付(免除を含む)が必要です。初診日が令和18年3月末日までで、65歳未満であれば、初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がなければよいという特例もあります。
当事務所に依頼するメリット
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初診日を確実に押さえます:救急搬送先など、最初に受診した医療機関と日付を確認します。
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加入制度と納付要件を確認します:請求できる年金の種類と、要件を満たすかを判断します。
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請求時期を見極めます:手術日の特例が使えるか、いつ請求すべきかを検討します。
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診断書の準備を支えます:日常生活や仕事の制限を、医師に伝えるための整理をお手伝いします。
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申立書を丁寧に作成します:発症からの経過と生活の実情が、正確に伝わるようまとめます。
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見通しを率直にお伝えします:難しい点も隠さず、理由と対策を説明します。
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不支給でも諦めません:決定内容を確認し、審査請求を含めて次の手を検討します。
受給をお約束することはできません。支給の判断は日本年金機構が行います。だからこそ、可能性と課題を正直にお伝えします。
他の事務所で断られた方へ
断られる理由には、事務所側の事情も含まれています。
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国民年金で、3級の対象にならない見込みである
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保存的治療で、人工血管を入れていない
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職場に復帰しており、等級が見込めないと判断された
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心臓・循環器疾患の経験が少ない
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3級では受給額が少ないと判断された
加入制度、手術の有無、術後の生活状況を確認し直すと、見通しが変わることがあります。 断られた理由をお聞かせいただければ、確認すべき点を整理します。
よくあるご質問
Q. スタンフォードB型で、手術をしていません。対象になりますか。
A. 人工血管を挿入した場合が基準の中心ですが、難治性の高血圧を合併した場合も3級の対象として挙げられています。個別の確認が必要です。
Q. ステントグラフトは、人工血管に含まれますか。
A. 含まれます。
Q. 仕事に復帰しています。受給できませんか。
A. 復帰していても、職場の配慮や制限の程度によって評価が異なります。実情を整理して判断します。
Q. 国民年金です。受給できますか。
A. 3級は厚生年金だけの等級のため、国民年金のみの方は原則として3級の対象になりません。
Q. 手術から時間が経っています。請求できますか。
A. 時期によって、請求の方法が変わります。早めにご相談ください。
まずは現在の状況をお聞かせください
大動脈解離は、予告なく生活を変えてしまう病気です。入院、治療、仕事の調整、ご家族の不安のなかで、年金の手続きは後回しになりがちです。しかし、初診日の加入制度、手術日、受診歴といった情報は、時間が経つほど確認が難しくなります。
「対象になるのか分からない」という段階でも構いません。これまでの経過をお聞かせいただければ、受給の可能性と課題を、正直にお伝えします。
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