コラム column
ペースメーカー・心臓病の障害年金|「装着した日」から請求できることを練馬区の特定社労士が解説
手術が終わって落ち着いたはずなのに、生活の不安は消えない
ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)を装着する手術を終えた後、「命に関わる状態は脱したのだから、もう十分」と感じる一方で、機器への依存や体力の低下、動悸・息切れへの不安から、以前のように働けなくなったという方は少なくないと思います。
それにもかかわらず、「手術をして落ち着いているのだから、障害年金の対象にはならないだろう」と自己判断で申請自体を諦めてしまうケースが、この分野では見受けられます。実際には、機器を装着したという事実そのものが、障害認定基準における明確な評価対象として位置づけられています。
そもそも、どのような心疾患が対象になるのか
障害年金の対象となる心疾患は、ペースメーカーやICDの装着に至るものだけではありません。完全房室ブロック、心房細動、洞不全症候群といった不整脈疾患、大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症などの心臓弁膜症、肥大型心筋症、拡張型心筋症、狭心症や心筋梗塞後の後遺症など、幅広い心疾患が「心疾患による障害」として審査の対象になります。手術や機器装着の有無にかかわらず、心臓の機能低下によって日常生活や就労に支障が出ている場合は、まず対象になり得るかどうかを確認する価値があります。
装着した日が「障害認定日」になる特例
多くの傷病では、初診日から1年6か月が経過した日が障害認定日となり、それより前に請求することはできません。しかし、心臓ペースメーカー・ICD・人工弁を装着した場合は例外で、装着した日(初診日から起算して1年6か月を超えている場合を除く)を障害認定日として扱う特例が設けられています。つまり、手術を受けたタイミングで、すぐに障害年金の請求手続きに進める可能性があるということです。
この特例を知らないまま、本来より受給開始が遅れてしまう方が少なくありません。手術から数年が経過している方であっても、遡って請求できる場合がありますので、諦めずにご相談ください。
等級の目安
障害認定基準では、心臓ペースメーカー、ICD、人工弁を装着した場合は原則として障害等級3級に認定されます。心臓の機能をより強力に補助する心臓再同期医療機器(CRT・CRT-D)を装着した場合は、原則として2級が目安とされ、心臓移植や人工心臓を装着した場合は1級が原則です。ただし、これらはあくまで目安であり、メッツ値(身体活動能力を示す指標)や検査結果、実際の日常生活・就労への支障の程度によっては、より上位の等級で認定される可能性もあります。
「メッツ値」とは何か
メッツ(METs)とは、安静時を基準とした身体活動の強度を表す指標で、心疾患の障害認定においては、どの程度の活動で息切れや動悸、胸痛などの症状が出るかを評価するために用いられます。数値が低いほど、わずかな動作でも症状が出てしまう、つまり身体活動能力が低い状態を意味します。 診断書には、日常生活上のどのような動作(歩行、階段の昇降、家事など)でどの程度の症状が出るかが記載され、このメッツ値の評価が、原則の等級から上位等級に認定されるかどうかを左右する重要な要素になります。
初診日はいつになるのか、意外と見落としがちな点
不整脈や心疾患は、健康診断の心電図異常をきっかけに発覚することが多く、「動悸がして内科を受診した」、「健診で不整脈を指摘され、経過観察となっていた」といった段階が、実は初診日として扱われるべき最初の受診である場合があります。ペースメーカーの装着手術を受けた病院を初診日と誤解してしまうと、保険料納付要件の判定を誤り、本来請求できるはずの年金が請求できなくなってしまうおそれがあります。古い健診結果やお薬手帳、紹介状などを手がかりに、症状で最初に医療機関を受診した日を正確に振り返ることが重要です。
「見た目は元気そう」に隠れた生活の制限
心疾患は外見から症状の重さが分かりにくい障害の一つです。周囲から「もう大丈夫でしょう」と見られがちな一方で、少し動くと息切れがする、疲れやすく長時間の作業ができない、といった制限を抱えながら生活している方が多くいらっしゃいます。診断書や申立書にこうした日常生活上の具体的な制限が反映されているかどうかが、適正な等級評価の分かれ目になります。
受給後も油断できない「障害状態確認届」
心疾患で障害年金を受給できた後も、定期的に提出が求められる「障害状態確認届」(診断書)によって、その後の状態が引き続き該当するかどうかが確認されます。手術後に一時的に状態が安定していても、その時の状態だけで診断書が作成されると、更新時に等級が下がったり支給停止となったりする可能性があります。日頃からの体調の変化を記録しておくことが、更新時にも役立ちます。
よくあるご質問
Q. 手術から何年も経っていますが、今から請求できますか。
できます。装着日にさかのぼって請求できる場合もあれば、現在の状態で改めて請求する方法もあります。
Q. 働きながらでも申請できますか。
できます。就労の有無だけでなく、どの程度の負担を感じながら働いているかが評価の材料になります。
社労士事務所アシストに依頼するメリット
当事務所では、装着日を基準にした障害認定日請求が可能かどうかを診療記録から確認し、メッツ値の評価も含めて適切な等級での申請をサポートいたします。手術直後のタイミングでも、また手術から時間が経過している方でも、まずはお気軽にご相談ください。
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