コラム column
発達障害の障害年金|大人になって診断された方が申請するときのポイント練馬区の特定社労士が解説
「大人になってから、ADHDやASDと診断されました。障害年金の対象になりますか。」
「幼少期の記録がなく、他の社労士事務所で難しいと言われました」
近年、成人になってから発達障害の診断を受ける方が増え、障害年金のご相談も多くなっています。結論からお伝えします。大人になってから診断された場合でも、障害年金を請求できる可能性があります。 ただし、初診日の考え方や書類の作成に、発達障害特有の注意点があります。
このコラムでは、特定社会保険労務士の立場から、その要点を解説します。
発達障害は障害年金の対象になるか
障害年金の認定対象となる精神の障害には、統合失調症、気分障害、てんかん、知的障害、そして発達障害が含まれます。
発達障害の障害年金は、精神の障害に関する認定基準で判断されます。診断書では、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」という2つの軸で評価され、等級判定の目安となります。 診断名だけで等級が決まるわけではなく、生活や仕事での困りごとが重要になります。
発達障害の等級のイメージ
認定基準では、等級を次のような趣旨で示しています。
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1級 社会性やコミュニケーション能力が欠如し、著しく不適応な行動がみられ、日常生活への適応が困難で常時援助が必要な状態
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2級 社会性やコミュニケーション能力が乏しく、不適応な行動がみられ、日常生活への適応にあたって援助が必要な状態
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3級(厚生年金のみ) 労働に著しい制限がある状態
どの等級に該当するかは、診断書と申立書の内容を総合して、日本年金機構が判断します。
最も重要な「初診日」の考え方
発達障害の請求で、特に注意が必要なのが初診日です。
原則 自覚症状があって初めて受診した日
日本年金機構の資料では、発達障害は、自覚症状があって初めて診療を受けた日が初診日とされています。 「診断を受けた日」ではありません。
知的障害を伴わない場合の取扱い
発達障害は通常、低年齢で発症する疾患です。しかし、知的障害を伴わない方が、発達障害の症状により初めて受診した日が20歳以降であった場合は、その受診日が障害年金上の初診日とされます。
この場合、初診日の証明が必要になり、保険料納付要件も問われます。
20歳前に受診歴がある場合
幼少期や学生時代に、発達の相談で医療機関を受診していた場合は、初診日が20歳前となることがあります。この場合は、納付要件が問われない取扱いがあります。ただし、所得による支給制限などの別の条件があります。
知的障害を伴う場合
知的障害の場合は、実際の初診日が20歳以降であっても、生まれた日が初診日と扱われる取扱いがあります。
初診日が20歳の前か後かで、請求できる年金の種類、納付要件の有無、必要な書類が大きく変わります。ご自身の受診歴を、早めに整理することが大切です。
大人になって診断された方がつまずきやすい点
1. 幼少期の記録がない
発達障害の請求では、生まれてから現在までの経過を、病歴・就労状況等申立書に書くことが求められます。 幼少期の情報は、ご両親や、母子手帳、通知表、学校の記録などが手がかりになります。
2. 初診日のあいまいさ
最初に精神科を受診したのが、うつ症状や適応の問題であり、後に発達障害と診断された、というケースがよくあります。この場合、どの受診日が初診日になるかを、慎重に判断する必要があります。
3. 就労しているケース
発達障害の方は、働いている場合も少なくありません。就労していても、仕事の内容や職場での配慮、周囲の支援の程度が考慮されます。 働いているという事実だけで、不利と決まるわけではありません。
4. 二次障害を併発している
うつ病や不安障害などを併発している場合は、それらも含めて総合的に評価されることがあります。 どの傷病を軸に請求するかで、初診日や請求の戦略が変わる場合があります。
申立書で伝えるべきこと
発達障害の申立書では、出生時から現在までの全期間を、3〜5年程度ごとに区切って、途中を省略せずに記載することが求められます。 次のような内容を、時期ごとに整理します。
乳幼児期・就学期
集団行動が苦手だった、忘れ物が多かった、対人関係で困った、特定の物事へのこだわりが強かった、など。
就労期
ミスの多さ、指示の理解の難しさ、対人関係のトラブル、職場での配慮の内容、転職の回数や理由、など。
現在の日常生活
身の回りのこと、金銭管理、買い物、通院や服薬の管理、対人関係、安全の確保などで、援助が必要な場面。
診断書の評価項目にも、食事、清潔の保持、金銭管理、通院と服薬の管理、意思伝達や対人関係、安全の保持、社会性といった領域が含まれています。 これらに照らして、日常生活を具体的に整理します。
診断書を依頼するときの注意
診断書は、医師が作成します。発達障害の診断書には、通常、精神障害用の様式が用いられます。 医師は、診察室で見える範囲を中心に記載するため、日常生活の困りごとが十分に伝わっていない場合があります。
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家族が見ている普段の様子
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仕事での具体的なトラブル
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幼少期からの経過
こうした情報を整理して、医師にお伝えすることが役立ちます。社労士が診断書の内容を指示することはできませんが、伝え方の準備はお手伝いできます。
他の事務所で断られた理由の例
発達障害の請求で断られる理由には、次のようなものがあります。
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初診日が不明確で、証明が難しそうである
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幼少期の情報が少ない
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就労しており、等級が見込めないと判断された
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発達障害の経験が少ない事務所だった
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申立書の作成に、時間と労力がかかる
どれも、事務所側の事情を含んでいます。ご本人が諦めるべき理由と、必ずしも一致しません。
当事務所の対応
・ご状況の聞き取り:診断の経緯、受診歴、就労、日常生活の困りごとを、ゆっくりお聞きします。
・初診日の整理:受診歴を時系列で整理し、初診日の候補と、必要な証明を検討します。
・納付要件の確認:20歳前か後かで、必要な確認事項が変わります。
・生活歴の整理:幼少期から現在までを、ご家族のお話も参考に整理します。
・診断書依頼の準備:医師に伝える情報を、一緒にまとめます。
・申立書の作成と請求:経過と実情が正確に伝わるよう、丁寧に作成します。
見通しが厳しい場合も、理由を含めて率直にお伝えします。結果をお約束することはできません。
よくあるご質問
Q. 大人になってから診断されました。申請できますか。
A. 可能性はあります。初診日が20歳の前か後かによって、必要な手続きが変わります。
Q. 幼少期のことが分かりません。
A. ご家族のお話、母子手帳、学校の記録などが手がかりになります。分かる範囲から整理します。
Q. 働いていても、対象になりますか。
A. 就労の事実だけで決まるものではありません。仕事の内容や配慮の程度が考慮されます。
Q. 診断を受けた病院が遠くて通えません。
A. 通院状況によって、診断書の依頼方法が変わります。ご相談ください。
Q. ご家族に知られずに相談できますか。
A. ご本人からのご相談を承ります。守秘義務を負う立場として、取り扱いに注意します。
「自分は軽いから」と、思い込まないで
発達障害の方は、周囲に迷惑をかけまいと、無理を重ねて働いたり、生活したりしていることが少なくありません。そのため、ご自身の困難さを、過小に評価してしまう傾向があります。
まずは、これまでの経過を、そのままお聞かせください。可能性と課題を、正直にお伝えします。
まずはお気軽にご相談ください
社労士事務所アシストでは、初回相談を無料で承っています。受給できるかどうかは日本年金機構が判断するため、結果のお約束はできません。それでも、現在の状態が基準に近いかどうかを、診断書を取る前に確認できます。
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