コラム column
統合失調症で障害年金はもらえる?「症状が落ち着いている時」の伝え方を練馬区の特定社労士が解説
「診断はついているけれど、自分がもらえるか分からない」という不安
統合失調症と診断され、通院や服薬を続けながら生活しているものの、「障害年金の対象になるのか分からない」、「症状が落ち着いている時期があるから、申請しても無理だと思う」と感じて、申請そのものを諦めてしまっている方が少なくありません。
実際にご相談にいらっしゃる方が、この「落ち着いている時期があるから対象外だろう」という思い込みによって、本来受け取れるはずの年金を受け取れずにいます。統合失調症は、精神・知的障害の中でも障害年金の請求件数が多い傷病の一つであり、決して珍しいケースではありません。
統合失調症とはどのような病気か
統合失調症は、幻覚や妄想といった「陽性症状」と、意欲の減退・感情の平板化・自閉といった「陰性症状」、そして思考力や集中力の低下といった「認知機能の障害」が組み合わさって現れる精神疾患です。発症の初期には陽性症状が目立つことが多い一方、治療によって陽性症状が落ち着いた後も、陰性症状や認知機能の障害が長く残り、社会生活や対人関係、就労の継続に大きな影響を及ぼし続けるケースが少なくありません。この「落ち着いた後も続く症状」こそが、障害年金の審査で正しく評価されるべき重要なポイントです。
統合失調症の等級はどう判断されるのか
統合失調症の障害年金は、幻覚・妄想などの急性期の症状(陽性症状)だけでなく、意欲の減退や感情の平板化、自閉といった「陰性症状(残遺状態)」が長期間持続しているかどうかが、審査の重要な評価軸になります。障害認定基準では、1級は「高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの」、2級は「残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害等がありながら日常生活が著しい制限を受ける状態」とされています。つまり、激しい症状が今まさに出ていなくても、長期間にわたって社会生活や自己管理能力に制限が生じていれば、1級・2級の対象になり得るのです。
精神の障害に係る等級判定ガイドラインとの関係
実際の審査では、厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づき、診断書に記載される「日常生活能力の程度」(5段階評価)と「日常生活能力の判定」(適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、対人関係、社会性など7項目の4段階評価の平均値)を組み合わせたマトリクスによって、等級の目安が示されます。統合失調症の場合、このガイドラインの運用にあたっては、妄想・幻覚などの異常体験の有無に加えて、陰性症状(残遺状態)が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割の遂行能力に著しい制限が認められるかどうかが特に考慮すべき事項として明記されています。
「ひとり暮らしができている」ことが不利に働くケース
ご相談の中でよく見られるのが、「ひとりで生活できているから、そこまで重い症状ではないはず」とご本人やご家族が思い込んでいるケースです。しかし実際には、家族や訪問看護、地域の支援者による見えない援助があって初めて生活が成り立っている、というケースが非常に多くあります。診断書や病歴・就労状況等申立書にこうした「見えない援助」の実態が反映されていないと、実態より軽い等級と判断されてしまう危険があります。逆に言えば、援助の実態を丁寧に洗い出し、具体的なエピソードとして記録することが、適正な評価への近道になります。
初診日の考え方と、長期間通院している方が注意すべき点
統合失調症は、発症から診断確定まで時間がかかることや、長期間にわたって複数の医療機関を転院しながら治療を続けているケースが多い病気です。障害年金の請求では、統合失調症の症状で初めて医療機関を受診した日(初診日)を特定する必要がありますが、転院を繰り返している場合、初診の医療機関のカルテがすでに廃棄されているケースもあります。この場合、当時の受診状況が分かる別の資料(お薬手帳、診察券、紹介状の控えなど)を探し出し、初診日を証明する工夫が必要になります。
申請でつまずきやすい3つのポイント
・診察の場では緊張や気遣いから症状を抑えてしまい、本来の困難さが医師に伝わりにくい
・服薬管理、金銭管理、対人関係でのトラブルなど、生活上の具体的な困りごとが申立書に反映されていない
・症状に波があることが十分に説明されず、たまたま調子の良い時の状態だけで診断書が作成されてしまう
よくあるご質問
Q. 就労継続支援や作業所を利用していますが、申請できますか。
できます。むしろ、こうした福祉サービスの利用歴は、日常生活・社会生活における援助の必要性を示す重要な材料として評価されます。
Q. 一度、症状が落ち着いて申請を見送りましたが、今から請求できますか。
できます。現在の症状の状態をもとに、事後重症請求という形で改めて請求することが可能です。
Q. 家族の証言は審査の材料になりますか。
なります。病歴・就労状況等申立書は、ご本人だけでなくご家族が代わりに作成することも認められており、日常的に接しているご家族だからこそ気づける変化や援助の実態を記載することが評価につながります。
社労士事務所アシストに依頼するメリット
当事務所では、ご本人はもちろん、日常的にサポートされているご家族への丁寧なヒアリングを通じて、どの生活場面でどのような援助が必要とされているかを具体的に整理いたします。そのうえで、診断書を作成される医師に対して、障害年金の審査で重視されるポイントを的確に情報提供し、実態が正確に反映された診断書の作成をサポートします。「症状が落ち着いているから」と諦める前に、まずは一度お気軽にご相談ください。
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