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1型糖尿病でも障害年金は受け取れる?「血糖が安定していれば対象外」と思い込む前に知ってほしいことを特定社労士が解説

 「HbA1cは落ち着いているので、障害年金は関係ないと思っていました」
 「仕事を続けているから、対象外ですよね

 1型糖尿病の方から、こうしたお話を伺うことがよくあります。結論からお伝えすると、血糖値が安定していることや、働いていることだけで、障害年金の対象外と決まるわけではありません。

 このコラムでは、障害年金を専門に扱う特定社会保険労務士の立場から、1型糖尿病の障害年金について、次の点を順に解説します。

  • 受け取れる年金の種類と、等級の考え方

  • 審査で見られるポイント

  • 診断書や申立書で、つまずきやすい点

  • 手続きの流れと、不支給だった場合の対応

  • よくあるご質問

1. 1型糖尿病と障害年金の基本

1型糖尿病とは

 1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が壊れ、インスリンを自分の体でほとんど作れなくなる病気です。生活習慣が原因ではなく、子どもや若い世代で発症することも少なくありません。

 インスリン注射やポンプ療法による治療が、生涯にわたって必要になります。血糖測定、食事内容の調整、運動量の管理を、毎日続けなければなりません。

治療を続けるなかで生じる負担

 数値の安定の裏側で、次のような負担を抱えている方が多くいらっしゃいます。

  • 1日に何度も行う血糖測定と注射(またはセンサー・ポンプの管理)

  • 夜間の低血糖への不安による睡眠の浅さ

  • 仕事中や運転中に低血糖が起こる心配

  • 通院や検査のための、仕事の調整

  • 将来の合併症(網膜症・腎症・神経障害)への不安

 こうした負担が長く続き、生活や仕事に制限が出ている場合、障害年金の対象になる可能性があります。

障害年金とは

 障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障が出たときに受け取れる公的年金です。高齢者向けの年金とは別の制度で、現役世代の方や若い方も対象になります。

2. 最初のカギは「初診日」

 障害年金では、病名よりも初診日(その病気で初めて医療機関を受診した日)が重要です。初診日にどの年金制度に加入していたかで、請求する年金が決まります。

初診日の状況 請求する年金 受けられる等級
20歳前(年金加入前) 障害基礎年金 1級・2級
国民年金加入中(自営業・学生・無職など) 障害基礎年金 1級・2級
会社員・公務員(厚生年金加入中) 障害厚生年金 1級・2級・3級
 

20歳前に発症した方

 子どものころに発症した方は、原則として20歳に達した日以降に、障害基礎年金を請求できます。保険料の納付要件は問われませんが、20歳前の傷病による年金には、本人の所得による支給制限があります。

会社員として働いている時期に発症した方

 障害厚生年金には3級があります。2級に届かない場合でも、3級に該当する可能性があります。3級は障害基礎年金にはない等級で、厚生年金に加入していた方の大きな特徴です。

初診日の証明は早めに

 発症から時間がたつと、病院の閉院、転院、カルテの保存期間切れで、初診日の証明が難しくなります。初診日が確認できなければ、請求そのものが難しくなる場合があります。

 「昔のことだから無理」と決めてしまう前に、一度ご相談ください。診察券、お薬手帳、健康診断の記録など、ほかの資料で補えるケースもあります。

3. 審査で見られるポイント

 日本年金機構の障害認定基準では、糖尿病は「代謝疾患による障害」として扱われます。1型・2型で、考え方が分かれるわけではありません。実務では、主に次の点が総合的に見られます。

インスリン治療の状況

 インスリン治療をどのくらい続けているか(90日以上が目安です)、1日の注射回数、ポンプやCGM(持続血糖測定器)の使用状況などが確認されます。

Cペプチド値

 1型糖尿病では、体内で自分のインスリンをどの程度作れるかが重要です。その指標となるのが、血清Cペプチド値です。

 Cペプチド値は、頻繁に測定する検査ではありません。そのため、請求を考え始めた段階で、主治医に検査をお願いしておくことをおすすめします。具体的な基準値は、認定基準の改正で変わることがあるため、請求時点の最新の基準で確認します。

血糖コントロールの状況と発作の経験

 次のような経験は、重要な判断材料になります。

  • 重症低血糖(自分で対処できず、他者の助けが必要になった経験)

  • 糖尿病ケトアシドーシスでの入院歴

  • 血糖値の大きな変動

  • 自己管理が難しくなった時期の有無

日常生活・就労への影響

 障害年金は、病名そのものではなく、日常生活や仕事にどの程度の支障があるかで等級が判断されます。診断書には、一般状態区分表(日常生活の活動度を示す区分)も記載されます。

合併症の有無

 網膜症、腎症、神経障害などの合併症がある場合は、その障害の認定基準でも評価される可能性があります。人工透析を受けている方などは、等級の考え方が変わることがあります。

※上記は一般的な目安です。実際の等級は、認定基準の改正や、個別の事情によって異なります。

4. 「働いているから無理」は誤解です

 就労していることだけを理由に、一律で不支給になるわけではありません。大切なのは、どのような状況で働いているのかです。

次のような点が確認されます。

  • 仕事の内容と勤務時間

  • 職場で受けている配慮(時短、血糖測定の時間確保、夜勤免除、業務内容の調整など)

  • 欠勤や早退、中断の頻度

  • 周囲のサポートがなければ、仕事を続けることが難しい状況かどうか

 「働けている」という事実の背景には、ご本人の努力と、職場の理解があります。その実態を、診断書と申立書で正確に伝えることが重要です。

5. 申請でつまずきやすいポイント

 ご相談を受けていて、特に多いものをまとめました。

① 診断書に、生活の実態が反映されない

 診断書を書くのは主治医です。しかし、診察室は短時間で、日常の困りごとまで把握できていないことがあります。

 次の内容をメモにまとめ、診察時にお渡しすると、診断書が実態に近づきやすくなります。

  • 低血糖で困った具体的な出来事(いつ、どこで、どうなったか)

  • 仕事で受けている配慮と、欠勤・早退の頻度

  • 夜間の血糖チェックなど、睡眠への影響

  • 家族や周囲の手助けが必要な場面

 大げさに書く必要はありません。事実を、正確に伝えることが目的です。

② 病歴・就労状況等申立書が曖昧

 「特に問題なく過ごした」、「普通に生活していた」といった書き方は、実態以上に軽く評価されるおそれがあります。時系列に沿って、具体的に書くことが基本です。

③ 診断書と申立書の内容が食い違う

 診断書で「日常生活に支障あり」とされていても、申立書で「問題なし」と読める記載があると、審査で疑問を持たれる原因になります。両方の整合性が重要です。

④ 保険料の納付要件の確認不足

 原則として、初診日の前日時点で、被保険者期間の3分の2以上の納付または免除が必要です。直近1年に未納がない場合の特例もあります。納付状況は、早めに確認しましょう。

⑤ 自己判断であきらめてしまう

 実際には対象になり得るのに、ご自身で「自分は軽いから」と判断してしまう方が少なくありません。受給できるかどうかは、日本年金機構の審査で決まります。ご自身で判断する前に、専門家へ状況を話してみてください。

6. 請求の流れ

  1. ご相談:発症時期、通院歴、生活と仕事の状況を確認します。

  2. 初診日・納付要件の確認:年金記録と医療機関の記録を確認します。

  3. 受診状況等証明書の取得:初診の医療機関に依頼します。

  4. 診断書の依頼:現在の主治医に、必要事項を伝えて依頼します。

  5. 病歴・就労状況等申立書の作成:診断書と整合する内容でまとめます。

  6. 提出:年金事務所または市区町村窓口へ提出します。

  7. 審査・結果通知:提出から結果通知まで、通常は数か月かかります。

さかのぼり請求について

 障害認定日(原則、初診日から1年6か月後)の時点で要件を満たしていれば、最大5年分をさかのぼって請求できる可能性があります。ただし時効があるため、早めの相談が大切です。

7. 社労士事務所アシストに依頼するメリット

 障害年金の請求は、書類の量が多く、病気とつきあいながらの準備は大きな負担になります。当事務所では、次のようなお手伝いをしています。

  • 初診日の特定と、証明書類の収集

  • 診断書を依頼する際の、伝え方のアドバイス

  • 診断書と矛盾しない、申立書の作成

  • 年金事務所とのやりとり

  • 不支給の場合の、審査請求のご相談

 審査の結果は日本年金機構が決めるため、受給をお約束することはできません。そのうえで、ご自身の状況が正しく伝わるように整えることが、私たちの役目だと考えています。

よくあるご質問

Q1. HbA1cが良好だと、対象外ですか?
A. HbA1c単独で判断されるわけではありません。Cペプチド値、低血糖の状況、日常生活への影響などから、総合的に判断されます。

Q2. 子どものころに発症しました。いつから請求できますか?
A. 20歳前に初診日がある場合は、20歳に達した日以降に障害基礎年金を請求できます。所得による支給制限がある点にご注意ください。

Q3. 障害年金を受け取ると、仕事に影響しますか?
A. 障害年金を受けても、就労は禁止されません。ただし、年金の更新(診断書の提出)が必要になる場合があります。

Q4. 税金はかかりますか?
A. 障害年金は、非課税所得とされています。

Q5. 初診日がわからない場合はどうしますか?
A. 診察券、お薬手帳、健康診断の記録、第三者の証明など、補う方法があります。まずはご相談ください。

Q6. 相談だけでもできますか?
A. はい、できます。ご依頼いただく必要はありません。

無料相談のご案内

 次のような方は、お気軽にご連絡ください。

  • 1型糖尿病で、仕事や生活にしんどさを感じている

  • 自分が対象になるのか、判断がつかない

  • 初診日がはっきりしない

  • 以前、自分で申請して不支給になった

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